今回はDIYスクールで軒樋の取り付けの講座を行いましたのでその内容をご紹介するとともに雨樋の取り付け方法を詳しく紹介したいと思います。
ご自宅の雨どいが傷んでしまっている方、雨どいを新しくしたい方の参考にしてもらえると嬉しいです。
用意するもの
- 雨樋本体
- 雨樋金具(長さと角度に注意)
- 雨樋用ボンド
- ビス~38mmなどあまり長くないもの(長持ちさせたい場合はステンレス製)
- インパクトドライバー
- #2ビット(金具に干渉するため長めのもの推奨)
- パイプソー(最近の雨どいには金属が入っていますので塩ビ用のパイプソーは2棟ほど使うと交換が必要になります。)
- 水糸
- 板金ハンマー
- 板金ばさみ
- えぐり(あれば)
- メジャー
状況確認
まずは雨樋を設置するにあたり金具のピッチなどを確認します。金具のピッチによって必要な材料の数量が変わります。
既存の雨どいから交換される場合は既存の雨どいを参考にされる方が多いと思いますが既存の雨どいをそのまま真似されるのはあまり得策とは言えません。
金具のピッチ
昔の建物では雨樋の金具のピッチが3尺(909mm)であることが多いですが、3尺ピッチですと曲がってしまったり、垂れてしまうリスクが高くなります。
雪はもちろんですが、特に最近では集中豪雨などによって以前よりも雨樋にかかる負担が多くなっており、最近の建物では尺5(450mm)や2尺(600mm)で施工することが多くなっています。
今回は2尺で取り付けますがご自身の施工する建物のある地域に合ったピッチで施工するようにしましょう。
雨樋のサイズ
雨樋には屋根の大きさに合わせたサイズを選ぶ必要があります。古い建物では丸樋が一般的でしたが最近では角樋も多く見られます。丸か角かはお好みで問題ありませんがサイズには注意が必要です。
古い建物の丸樋は100mmを使っていることがほとんどですが最近では105か120を使うことがほとんどです。
ホームセンターなどでは100mmも売られていることが多いですが既存の雨どいの補修で使うためのものだと考えておきましょう。
雨樋金具の長さと角度
雨どいの金具の長さと角度にも注意が必要です。雨樋の金具は設置する破風板から屋根先までの出の寸法の違いによって金具が変わってきます。最近では調整できるものがありますので不安な場合は調整できるタイプのものを選択しましょう。
基本的には屋根の軒先が雨どいの太さの真ん中になるようにするとよいでしょう。
また、破風板の角度も地面に対して垂直のタイプ(ツラ打ち)と寝ているタイプ(横打ち)があります。ご自身が雨どいを設置する破風板が垂直なのか寝ているのか事前に確認しておきましょう。
それと雨水をどのように流すのかも確認しておく必要があります。どちらか片側にのみ集水器を付ける片流れなのか両側につける両流れなのかで水の流し方が変わり、それに伴って取り付け方法が異なります。
今回の両流れは両サイドに集水器が付きますので中央を高くして両側に水を流すようにします。全長を計った際に中央部分に印をつけておきました。
材料の量を知る
まずは購入する金具の量を知る必要がありますので設置する破風板の全長を計ります。画像でもわかる通り、破風板がだいぶ傷んでいますので本来は交換した方がいいですが今回はこのままいきます。
全長がわかったら金具が何個必要か計算してみましょう。
不安な場合は端から取り付けピッチごとに印をしてみるとよいでしょう。ちなみに金具は必ず奇数になります。
今回購入した金具は長さを調整できるタイプですのでまずは金具の出を軒先が樋の太さの真ん中あたりに来るように調整します。
1ついい感じに調整出来たら他のすべての金具も先にセットしておくと後々楽です。
水の流れの上と下、両端の金具を先に取り付けます。今回は破風板の下端から計って金具を取り付けます。
今回は両落としですので上である真ん中の金具を一番高くして固定します。
上と下の高低差ですが一般的には10mあたり30~50mmが基準と言われていますがよほど大げさにやらない限り、ある程度の勾配が付いていれば細かい数字を気にしなくても水は流れます。
上と下に金具を付けたら水糸を張ります。水糸の止め方は止まってさえいれば適当でも問題ありませんが少しのたるみでも勾配に絵協しますので糸は強めに張りましょう。
糸が張れたら糸に合わせて残りの金具を取り付けます。水糸の近めにビスで固定し、固定後に金具を持ってぐっと曲げて上げたり下げたり微調整します。
両サイドの末端部分は雨樋の中に水が溜まらないように集水器より高くなるように調整します。
今回の軒樋は約10mですので3.6mの軒樋を3本繋ぎ合わせます。3本の場合は真ん中の樋から取り付けます。
取り付けの際はまずは前側の金具に本体の溝を引っかけ、すべての溝が引っ掛かっていることを確認したら後ろの金具をはめ込みます。
特に角樋はガチャっと一度はめ込んだら取り外しが困難ですので必ず前側の金具がしっかりとハマっていることを確認してから取り付けましょう。
また、樋と樋を繋ぎ合わせるジョイントの部分に金物に金具が来てしまうのはNGです。もし金具の部分にジョイントが来るような位置にある場合は事前に位置合わせをしましょう。
エンド部分は屋根の端より30mmほど出すようにします。
集水器を付ける位置に印をつけて画像のように段になっている部分くらいまで切れ目を入れます。
えぐりを使って丸く穴をあけ、そこから何か所か切れ目を入れて立ち上げます。この立ち上げは集水器の抜け止めの役割も担いますので必ず行いましょう。
加工が終わったら集水器を取り付けます。
続いてエンド部分です。切断のラインを引く際はジョイント接手を使うと綺麗にラインを引くことができます。
ラインに沿って切断します。
接着剤を付けたら本体に取り付けます。取り付けの際は横からカポッと取り付けず他の接手と同様に後ろから掛けて巻きつけるように取り付けるようにしましょう。
ジョイント部は接着剤を3列に付け、真ん中は多めに付けます。後ろ側を装着してから前を装着し、取り付け後は両サイドをグッと寄せます。
この時、画像のように継ぎ目から接着剤がにじみ出ているのが良い状態です。
カバーにも接着剤を付けて装着します。
完成したら水を流してしっかりと雨水が排水されるか確認し、問題がなければ作業終了です。
今回は角樋での作業でしたが丸樋でもほとんどの作業が共通です。ちなみに角樋は前後が決まっていますが丸樋は前後は決まっていません。ただ、樋の側面にうっすらと印字が入っており、プロは印字を見せないように印字のある側を破風板のある方に向けるようです。